Goldwork

ゴールドワーク(Goldwork)とは、金銀の金属糸(メタル糸)を用いた煌びやかで格調高い伝統刺繍のことです。
「Gold embroidery(金糸刺繍)」や「Metal embroidery(メタル糸刺繍)」と呼ばれることもあります。

ゴールドワークの歴史はとても古く、少なくとも2000年前には誕生していたと言われています。
元は中国で発祥し、その後シルクロードを渡って、アジアからヨーロッパへと広がっていきました。
ゴールドワーク材料
ゴールドワークは、特に中世ヨーロッパにおいて大きく発展していき、その中でもイギリスは最高峰の技術を誇るまでになりました。
本金を含むメタル糸を使用するこの刺繍は、富と権力の象徴として 教会や王室、貴族などに大きな需要があり、教会の祭服や装飾品、軍服、紋章などに広く用いられ、また外交的な贈り物としても重宝されました。

現在もヨーロッパでは、教会の祭服や装飾、王室儀式など特別な刺繍として用いられています。
英国王位継承の戴冠式で着用されるローブをはじめ、ヨーロッパ各国の教会の装飾品などから、長い年月に渡り受け継がれてきた素晴らしい刺繍技術を見ることが出来ます。

また、ザリ(Zari) という名で知られるインドの金刺繍は、かつての統治者”マハラジャ”たちに好まれ、宮廷衣装や装飾品などに用いられていました。
純金・純銀の糸や宝石など高価な材料を使用し、富や権力の象徴として発展していきましたが、手間とコストがかかることと、マハラジャが衰退していったことで、一時は衰退しつつありました。

しかしながら、手に入りやすく耐久性がある材料に変化させたことで需要が回復し、現在は女性の民族衣装「サリー」やフォーマルドレスをはじめ、エンブレムなどの小物類に至るまで幅広く用いられております。
特殊なかぎ針を使って金属糸や金属モール糸を刺繍する技術は、貴重な職人技として今も大切に
受け継がれています。


国によって それぞれに技法を発展させながら 受け継がれているゴールドワーク刺繍。
その中でも私は、特にスペインとイギリスのゴールドワーク刺繍に心を奪われ、
その貴重な技術を習得いたしました。

ゴールドワーク刺繍は世界的に見ても学べる場所がとても少なく、日本では作品ですら目にする機会がまだまだ少ない刺繍ですが、学んできたことを作品作りやお教室の課題を通して、少しずつお伝え出来たらと思っています。

尚、私がイギリスゴールドワーク刺繍の基礎を学んだ「英国王立刺繍学校 日本分校」を以下にご紹介しております。
英国王立刺繍学校は、前述した英国戴冠式で着用されるローブの刺繍を手がけており、ゴールドワーク技法のほか、様々な刺繍技法を学ぶことが出来ます。ご興味のある方はご覧ください。
 英国王立刺繍学校 日本分校
※リンクの貼り付けについては、英国王立刺繍学校 日本分校の二村エミ先生より承諾を得ております。