クロッシェ針
リュネビル刺繍に欠かせないクロッシェ針。今回は、私が持っているクロッシェ針を紹介したいと思います。
写真 上から3本は、数年前にデザインが気に入って購入したもの。こちらのクロッシェ針は、デザイン製のある木製の針カバーまでついていました。
ものによっては、カバーが最後までしっかり納まらないものもあるのですが、それもまたフランスらしいかなと。
ただ このクロッシェ針、とても重いんです・・。
柄のお尻部分が太いため、木の重みでずっしりしています。ルサージュ(パリのオートクチュール刺繍学校)で最初に渡された針で刺繍し慣れているため、私には重く感じてしまって、購入したものの 全く出番は無し・・。
ほんの少し刺す時は良いけれど、長時間刺繍する際は、どうしても重さが気になってしまって。
でも、やっぱりデザインが素敵なので、観賞用として持っておくだけで満足しているといった感じです(笑)。
下写真の中央4本のクロッシェは、お教室で生徒さんにお渡ししているタイプ。
柄の部分が細く、すらっとした形状のクロッシェ針です。 「軽いから好きです〜」というお言葉をよく頂戴します。
また、下写真の中央3本のクロッシェは、太い針用にと数年前に購入したもの。 100番や120番の太い針を使う時、通常のクロッシェでは針が入らなかったので、
針入れの穴が大きいクロッシェが欲しくて購入しました。
このクロッシェは 針入れ穴が大きい分、70番や80番の針も余裕で入るので、幅広く対応できるタイプ。
ただ 実際のところ、このクロッシェで細い針を使用すると、とても刺繍しづらいです・・。
簡単な説明になりますが、クロッシェは針を横からネジで固定するため、細い針になるほど、
針の中心が端に寄ってしまいます。
結果、刺す感覚が掴みにくく、70番や80番では刺繍しづらくなってしまうのです。
このため、私は太い針専用として使用しています。
最後にですが・・・ 写真 一番下に写っているのが、私が愛用しているクロッシェ針。 こちらは、リュネビル刺繍を始める際、ルサージュで手渡されたものです。
以来、このクロッシェ針でひたすら練習して、修行期間を乗り越えた思い出の針。
その後も、ずっとこの針で作品を作り続けてきて、かれこれ10年愛用しています。
この針を持つと、しっくり手に馴染み、気持ちが落ち着きます。
クロッシェ針って、同じ形状のものだったとしても、人のものを使うと ”なんか違うな〜”と 使いづらく感じてしまうもの。
写真上の下から2番目のものも、愛用しているものと同じ形状のものなのですが、やっぱり違いを感じるのです。
同じ形状のものでも、柄が 微妙に太かったり細かったりと、多少なりとも個体差があります。
その中で、たまたま自分の手元にやって来たクロッシェは、大袈裟ではなく、運命の出逢いみたいなもの。
そして、そのクロッシェを使い続けることで、どんどん自分の手に馴染んでいって、”これじゃなきゃ!”と思えるような唯一無二のクロッシェになっていくのだと思うのです。
ルサージュでの最初の授業の際、先生に「これが貴方のクロッシェ針よ。大切にしなさい。」と言われました。 その先生は、のちに私が一番尊敬する先生となるのですが、何年も経ってから、この先生の言葉の意味が、本当に分かったような気がしました。
最初に手に取ったクロッシェ針って、本当に大切なんだなぁと。
手渡された時と今とでは、何だかテカテカ光ってしまい、全体の木の色も変わり、傷も沢山ついてしまいましたが、それは 時間をかけて私の手に馴染んでいっている証。
そんな”味”を大事にしながら、これからもこのクロッシェで刺繍し続けたいと思います。